今日もめくるめかない日

透くんのようになりたい人生だった

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 わたしは生粋のりぼんっ子であるので、少女漫画=集英社という意識が根底にあった。集英社こそ絶対神くらい思っていたが、それでも集英社以外にも夢中になった少女漫画ももちろんたくさんある。

 先日、掃除でもしようと重い腰を上げたときに視界に入った漫画「フルーツバスケット」(高屋奈月白泉社)。今さら説明などいらないほどの名作、通称「フルバ」、昔からわたしはこの漫画がだいすきでだいすきでもうだいすきで、何度読み返しているかしれない。何度も読み返しているのに、掃除をしようと思い立ったときによりいっそう魅力的に感じてしまうあの現象、名前がついているなら教えて……。
 しかしわたしも大人である、1巻から読みはじめてしまうと結局最後まで読んでしまうとわかっているので、「いいところ」だけ読んで満足し、あとは大人なので掃除をするなりと6巻を手に取った。

 ちなみにわたしが持っているのは通常版で(今は愛蔵版も出ていますね、ほしいよ……)、通常版の6巻といえば、「ああはいはいはいはいはい、6巻ね、はいはいはいわかる、6巻ね、うんうんうん」ともはや言葉はいらず、なにはともあれ6巻、フルバをはじめて読むならまずは6巻まで、とにかくとりあえず6巻になにもかもが詰まっている、6巻なくしてフルバは語れぬなど、6巻=最高の巻として植えつけられているひとも多いのではないだろうか。
 6巻、それは猫憑きである夾くんの本来の姿や過去が明らかになる巻。醜い化け物の姿、異臭もする、声もいつものものと違う、透にとっては恐怖の対象になってしまった夾くん。そんな姿を見られたくない、拒絶されたくない、そういう思いから透の前から逃げ出す夾くんだけど、透はそんな夾くんを追いかけて、向き合おうと…………(泣)。
 ここの場面がほんとうによくて、「怖いけど、知らないからこそわかりたい」と化け物の姿になった夾くんを離そうとしない透にわたしは何度涙を流したか、わたしも、もし自分の身にこういうことが起こったら(つまりなにかの呪いのせいで、本来の姿が化け物であるという秘密を抱えている男の子と出会い、その男の子の本来の姿を見てしまったとき)、透のように抱きしめてやるんだ……!と考えていた。まあそんな男の子とは出会ってないんだけど。
 夾くんが自分の気持ちを泣きながら透に吐き出すときの場面は、「尊い」ということばを通り越して、いったいなんとあらわせばいいのだろう……わからない……宇宙のはじまり……? ビッグバン、ありがとう。透によって夾くんのこころがすこしずつほぐれていくじゃん、もうさ、「うおおおおおお夾くん、あああああ夾くん、、、、あああああああああ!!!!!!」という感じなんだけど、そこからの、

 

「透」(夾くんが名前呼んだ)

 

 あまりの宇宙にたおれた。

 このように言語表現もままならないのに、掃除なんかできるわけないよ。わたしはそのまま当たり前のように、7巻を手に取った(宇宙の理)。6巻から読んでも結局最後まで読んでしまうことになった。
 フルバのよいところは、主人公(主に透、由希、夾)以外にもたっくさんの登場人物がいるんだけどそれぞれにスポットライトを当て、それぞれ愛すべきキャラクターになっていること。わたしの最推しは夾くんだけど、同じくらいほかのひとの過去を知ったり透とこころを通わせていく過程を見るのがだいすきだった。

 

 7巻、燈路には最初「なんだこのむかつくガキは……!!」と思いましたが、彼には彼でかかえるものがあって、しかもまだ幼いこどもであり、それでも杞紗のことをおもってるんだよね、今ならわかる。うおちゃんが「帰る家」をのぞむモノローグ泣ける。「欲しかったものがある」ではじまるモノローグ超すきで、みんな帰る家やあったかいひとを、のぞんでるんだよね……。透がいて、そして透のまわりにみんながいてよかったよ……。

 8巻、紫呉の洗濯物のはなしが当時からだいすきだった。今読み返しても「うん、うん……あしもとから片づける……」って元気出た。でもわたしもう紫呉の年齢たぶん追い越してる……(絶望)あと夾くん、あああああ~~~~!!!!!!!!!!(フルバは少女漫画ですが実はキュンキュン!みたいなシーンは少なく、それがまたいいのですが、ときたまよい塩梅で、夾くんがわたしたちをときめかせてくれる場面があって、8巻は泣いている透に「おまえってなんでそんな泣き虫なわけ……?」と居間で聞くセリフがあって、あああああ~~~~~~!!!!!!夾くんの顔やさしっ……

 9巻、、、待って、このままだと全巻(23巻)ぜんぶにコメントを残しそうな勢いの自分に今驚いた。さすがにしつこいよね……。でも残したいから簡潔にまとめよう。9巻、はなちゃん。はなちゃん……。

 10巻、草摩の別荘へ行く。当時こどもだったわたしには紫呉の行動が謎すぎて「余計なことすんな……」と思い続けていた。そして今読んでも「余計なことすんな……」と思った。ラストの由希の行動でわたしが焦る(夾くんのことを心配しすぎて)。

 11巻、慊人もう今すぐ帰れよ………………………………………………………………夾くんああああああああああああああああああああああ別荘編まじ最高


 12巻、楽羅…………わたしは……おまえもすきだ!!!!!!!!!!!!!!(泣)つじつま合わせなんかじゃ!!!ないよ!!!!!!(泣)

 13巻、紅葉いとしいし透が夾くんを意識しはじめる最高な修学旅行編(編とはいえわりとあっさり終わるんだけど)、透が夾くんのそでをつかむじゃん……振り返ったときの夾くんの顔さあ・・・・・・・・ああああああああああありがとう

 14巻、紫呉おまえなんなん……!?

 15巻、シンデレラっぽいもの。真知って好かれていないイメージあるんですがわたしはけっこう好き(夾くん派だから?)。

 16巻、おとうさん生きていてほしかったよ……

 17巻、紅野おまえなんなん……!?

 18巻、由希が真知のためにチョーク折るところめっっっっっっちゃくちゃすきなんですよね昔から…。やさしすぎない……? あと昔はあんまり魅力に気づかなかったけど、春めちゃくちゃいい男だな……?!?!?!?!?!?!?

 19巻、シーツ越しのところおぉぉぉぉぉぉぉおああああああああああああああああああああああああ泣いた

 20巻、………………………………………………もうだめだ。つらくてたおれた。これいじょう夾くんや透をくるしめないでほしい……もうくるしまないでほしい

 21巻、由希が夾くんに喧嘩しながら言うセリフが最高なわけです。崖から落ちるのをキャッチできなくても、車に轢かれそうになるのを助けられなくても、夾くんはちゃんと透を守っていたんです。って由希が教えてくれるんです。最高以外になんと言えばいいの……?

 22巻、泣いてる

 23巻、ありがとうしか言えねえ


 そういうわけでフルーツバスケットはとてもいい漫画です。ここまで読んでくださったひとは、たぶんすでに読んでいるひとたちであると思うけど、もし読んでいないひとがいたら、今からでも遅くない……というかいつ読んでも遅くないから読んでくれ頼む。ちなみに今回は6巻から読みはじめてしまったけど、1~5巻も最高なシーンがもちろんあるよ(おにぎりの具のはなし、馬鹿な旅人や、雪が解けたら……のシーンとかさ)。
 そういえば愛蔵版を調べてみたら、愛蔵版の6巻は別荘編なんだね。どっちにしろ6巻最高か。

 ちなみにまたここでひとつ黒歴史を暴露すると、少女漫画のヒーローに恋してしまうのはあるあるだと思いますが(あ、あるあるだよね……!?)、夾くんが好きすぎたわたしは、こっそりノートの片隅に「草摩○○(←自分の名前)」など書いてたのしんでいたのであった…ああああああああああああああああ透くんのようになりたい人生だった。ちなみに掃除はしてない。


 

 

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