今日もめくるめかない日

文フリに行ってきた

 先週の日曜日、文学フリマ東京に出かけた。ずっと興味はあったけれど知り合いもとくにいないし、よくわかっていないままあの熱がすごそうな空間に私なんかが足を踏み入れていいのかなあなどうじうじ考えては足を遠のかせていた。ただ四月に下北沢で開催された日記祭に行けたことで勇気が出て(はじめてのおつかいか…)、そして即売会の空気ってやっぱりなんかいいよねって思って、ついに!文フリに行くことができた。

 

 即売会といえば実はコミケには何度か行ったことがあって、それこそ最大の即売会じゃねーか、なんですけど、これは仕事で取材として行っただけなのでアウェー感もなく、ただまじで人すご、熱量すご、入場列すご、壁サーの列どうなってるの……?状態(コロナ前だった)、即売会というものの〝空気〞だけは知ったような気になっていたので文フリもやっぱり人すごいのかな……!?と思っていたら入場列めっちゃ並んでる~~~~~!

 

 12時会場で、わたしは11時40分ごろについたのですが、すでに入場待ちの列ができあがっていて、もっと早く出るべきだったかと後悔。でも私が並んだあと会場の外にまで列ができあがっていて、たぶんまだいいほうだった。実際会場のなかに入ったらブースに列ができているところはほとんどなかった。

 買った本がこちらです。

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 行く前にどのブースに寄ろうかチェックして、一番に寄ったのは皆川博子さんの本を買うため兎影館さんのブースへ。ほんとうは河出のスピンに寄せられていた掌編「香妃」を買おうと思っていたのに、風配図を読み解くペーパーをみて、「これがあれば挑戦できるかも…」と風配図を手に取った瞬間、香妃のことを忘れていたあほな人が私です。帰りの電車で気づく大失態。こういうのも醍醐味ですか。

 あとは歌集をメインにブースをうろうろ、安田茜さんの「恋は帰ってほしい」、書肆侃侃房から出ている「結晶質」がとてもよかったので買おうと決めていました。
「西瓜」、好きになる歌人のかたが西瓜所属なのが多い気がしたのでこちらも。真島朱火さん、ブースの前を通りかかったときによかったらとフリーペーパーをいただいて、なんか好きかもと思い購入しました。
「胎動短歌」はやっぱり列ができていて、でも最後尾のプレートを持っていた人が「さっきはもっと並んでいたんです」と話していて、実際並んだ時間は十分もなくて、タイミングよかったなと思いました。

 

 そしていちばん並ぶだろうと覚悟していた斜線堂有紀さんのブースは、もちろん列ができていたのですが想像より早く購入できて、開場前から並んでいてよかったの気持ち。ご本人もおりサインもらえるんだうわ~~~~(喜)と買ってそのままふら~とスライドしようとしたら、サインの列は並び直しとのこと。そ、そうだよね。失礼しましたと並び直してサインをいただけました。ひとりひとりにサインを書いて、声をかけて、会場内はけっこうあつくて、たいへんだろうな、でもすごくうれしいな、ああ、もうみなさんにありがとうございました……と心のなかで伝えておきました。

 

 そして第一展示場から第二展示場へ、フォロワーさんの合同誌「tele-」を購入しました。ブースに行ったとき、「どちらでお知りになったのですか」的なことを聞かれ、「あ、知り合いが…」と言いかけて、知り合いっておこがましいのかな、直接会ったわけでもないし、と考えて「いやフォロワーが…」とわざわざ言い直してしまって、どちらのほうがより関係性が正しく伝わるかっていったらたぶんフォロワーなんだけど、なんか「知り合い」よりも一方的なかんじがして、いや一方的なのかもしれないけど、こんな言葉ひとつであわあわ考える私ってやっぱりコミュ障だな…と思っていたらブースの方が話を続けてくださって、お名前を伝えたら「さっきまでここにいたんですけどね」とのこと。よろしくお伝えくださいと言ったのに自分の名前を告げるのを忘れたことにあとから気づいて、だれやねん…状態にさせてしまっていたらごめんなさい。

 

 とにもかくにも楽しかったはじめての文フリ。書く、つくることの純粋さに触れられたような気がする。届いたり届かなかったりすることもあるけれど、気持ちがあって言葉があること、それをかたちにしている人のパワーはやっぱりすごいと感動した。そして自分も言葉にする手段を持っていることに身体全体が透きとおるようなうれしさがあった。

 
 買った本はこれからゆっくり読んでいこうと思います。積読がいっこうに減らず、むしろどんどん増えてゆくばかりですが、読書を義務的なものにはしたくない。でも積読が増えたり、話題の新刊などの話を耳にすると、どうしても「読んでおいたほうがいいかも」とか、「買ったからには読まなきゃ」と思ったりもしてしまう。
 このへんの義務にならない読書については前々からなんとなく考えていて、言葉がまとまってきたら文章に起こそうかなと思っています。

 

 そういえば本日読み終わったのですが、日記祭で買った植本一子さん、金川晋吾さん、滝口悠生さんの日記本がとてもよかったです。

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 他人の日記になにかを求めはしないし、なんというか、気付きとかいい風なことを書こうとしている日記(に限らず文章全般)は少し苦手なので、ただの日記が書かれていて、ただそれを読む、ただの時間に身を置けることがよかった。とはいえ、わあこの言葉いいな、と思う箇所ももちろんあって、それはきっと作者の意図していないところだからそれはそれでやっぱり私にはちょうどいい。こんな生活する人やこんなふうに考えたりする人が同じ世界にいるんだなと思うこと、知れることはなんだかとても安心すると感じた午後でした。

 以下は金川晋吾さんの日記より。

こういうときに、一子ちゃんは二人の娘さんのお母さんなのだということを思い出す。思い出すたび畏怖の念を抱いてしまうけど、そういうことをいちいち思うのは、誰にとっても余計なことだと思う。これは、この日記のテーマでもあると思う。子育てをしている人の日記とともにあること。他人と比べて自分を妙に下げたり上げたりしないこと。

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