今日もめくるめかない日

7月の読書がよかった

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8月も早くも一週間が過ぎ、夏というのはどうして時間が経つのが早いのでしょうアインシュタイン
突然ですが7月に読んだ本、すごくいいものが多かったので紹介します。
先日の夏の本も多くの方に読んでいただきありがとうございました(「#夏の本」の動向を探りましたがとくに投稿は増えなかったもようです笑)。

mrsk-ntk.hatenablog.com

 

それはさておき7月に読んだ本がこちら。いい本は何度もすすめるよ!

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7月は赤い本4冊からはじまったのですが、なかでも俵万智訳の与謝野晶子「みだれ髪」がすこぶるよかったです。

みだれ髪/与謝野晶子(俵万智訳)

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www.kawade.co.jp

私いままで与謝野晶子にほとんど触れてこなかったのですが、この本は「本棚の整理をする」という友人にもらい読み、なんで今まで読んでこなかったんだ~~~~!と後悔しました。

(狂ひの子われに焔の翅かろき百三十里あわただしの旅)
狂おしく燃える思いを羽として500キロ一気に飛びます、君へ

(百合の花わざと魔の手に折らせおきて拾ひてだかむ神のこころか)
百合の花の君を悪魔に手折らせてのちに拾うという神の意思

(いさめますか道ときますかさとしますか宿世のよそに血を召しませな)
諫めますか道説きますか諭しますか世の中なんていいから抱いて

な、なんて情熱的なの……。百合の花の歌とかやばくないですか…「癖(ヘキ)」じゃんこんなの……。当時の人たちも同人誌とかつくりたくなるでしょ……。

 

太宰治賞2024

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受賞作「メメントラブドール」(市街地ギャオ)含む最終候補作4作と選評が掲載された1冊。新人賞好きとしては最終候補作まで読める賞はたいへんありがたいのだよ~~。
メメントラブドール」の躍動感がありつつ読者を置いてけぼりにしすぎない文体は読んでいてとても楽しい。ノンケ喰いをしながらコンカフェで男の娘として働きながらやる気のない会社員でもある語り手…ってすでに情報量多いですが、突き放されない、むしろちょっと寄り添ってくれるような作品だと感じました。
そして惜しくも受賞を逃したとはいえ、最終候補作はやっぱりどれもおもしろく、私はとくに「フォルムレス・ヒール」が好きでした。

 

初夏ものがたり/山尾悠子,酒井駒子

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いや~~~何度でも言ってしまうけどね、いいものは何度でも言ってOKだからね、何度でも言うけれども、「初夏ものがたり」を!!!!みんな!!!!!読んで!!!!!
故人を一度だけ現世に連れてきてくれるあくまでビジネスなクールな案内人、一夜限りの逢瀬、数十年越しに叶う願い、ちょっとわがままな少女に振り回されるクールな案内人とか、そういうの好きなら絶対読んで~~~~~!!!!!!!!

40歳だけど大人になりたい/王谷晶

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王谷晶さんの赤裸々エッセイ。私も今月35歳とあいなりますが、いまだに思ってるもんね「あ~大人になりたい」「なんかカッコイイ大人になりたい」「いろんなこと知ってる大人になりたい!」……こんなことを考えている時点で私が憧れる大人には程遠いんですけど。
(失礼ですが)「そ、それはたしかに大人じゃないかも…」というエピソードが盛りだくさん、笑えて安心できるんですが、このエッセイのよいところは「ま、そのままでいいじゃないですか」みたいに落としどころをつけないところ。いま大人じゃなくても、あくまで大人をめざすエッセイなのです。
そして「もしかしてこういうのが大人なのかも?」という王谷さんの結論が目印のようになって、年取るの全然悪くないな、むしろ年を重ねていきたいぜという前向きな気持ちになりました。

 

我が友、スミス/石田夏穂

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本当どうして石田夏穂さんの小説ってこんなにおもしろいんだろう!?とにかく語りがユニークだよね。いやでも語り手本人が大真面目なところがいい。真面目ゆえおかしみがあって、数ページに一回は笑ってる。笑える純文学の筆頭だ。
「別の生き物になりたい」という思いから熱心に筋トレに励むU野。すごく自由でひらかれた世界と思えたボディビル大会はその実凝り固まったルールがありすぎで、そのルールを力強く吹き飛ばしてくれるようなラストが爽快だった。

 

産声/平戸萌(スピン8号)

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実はなによりこの作品をすすめたかったんです!!!!!!スピン8号に掲載されている平戸萌さんの短編「産声」、これがすこぶるよくて、本当によくて、読み終わったとき、じわっと切なくあったかい気持ちにつつまれて、ひとりでも多くの人にこの短編を知ってもらわないといけない!!!!!!!という謎の使命感に駆られ勢いのまま投稿したポストがこれです。

短編小説で、あらすじを書くのももったいなく感じるので(説明しようとすると陳腐になり、よさをひとつも伝えられない恐怖に陥る)、とにかくみなさん読んでください!!!!!スピンはなんとたったの300円で買えるんです!!!ほかに最果タヒさんの「新世紀エヴァンゲリオン詩集」もよかったんで!!!!!!!!(アスカ、綾波ミサトさん、シンジの詩だったよ)

平戸萌さんのデビュー作「私が鳥のときは」もたいへんよかったです。

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なつのひかり/江國香織

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「なつのひかり」読んだよ~~!内容はすっかり忘れていたけれど、読みはじめたらなんとなく思い出して、主人公はいつも夏のまんなかで途方に暮れているんですけど、私たぶんこの作品で「途方に暮れる」って言葉を知ったし好きになったよなということを思い出しました。
不思議なことがたくさん起きるけど、いつまでも夏の夕方に閉じ込められていて進まない、それはたしかに夏の一日だよ。けだるくて、まぶしいね……。

 

ちなみに8月の読書はこの2冊を読了するつもりです(本気出す)

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源氏物語は前まで一生懸命メモをとって感想もあげていたのですが、私の根性なしの性格ゆえ廃止しました。感想は、書けるときに、書きたいときに書くのがいいよね!うん!

ではではみなさま、残りの夏もお元気で~!