今日もめくるめかない日

こんな日にはホットココア

 本格的に肌寒くなってきましたね、数日前までまだ秋がきていないなあなんてぼやいていましたが、季節というのは過ぎ去るときはあっというま、訪れたかと思えばこの秋も、気づいたらいなくなっているんでしょう。

 

 忙しい月末月初のピークを越えて、少しずつ落ち着いてきた。二週間後に締め切りの短編の賞は、間に合わないぜったいに間に合わないと思いながら書いていたのに、今日終わりのほうまで書くことができて、意外と間に合いそう……。もともとあった作品で骨組みはできていたので削ったりかひつしたりと突貫工事をしている感じ。

 

 横光利一「春園」を読み終わった。旧字体が多かったのですが意外と読める、文体も堅すぎなくてやさしい、お節介な人がいろいろだれかの世話を焼いたり、生き別れた娘と父や祖父が再会したり、家族の、とはいえなんだか付かず離れずな不思議な関係を描いている作品だった。作中、句会をひらく場面があって、そのなかに出てきた「寒椿しだいに雪の明るくて」という句が好きだった。椿好きなんですよね。雪と椿、いいでせう。

 雪がつもったところから春になってゆく時間の経過がうつくしいと思う作品でした。

 

 今日夫は家にいないので、ひとりで外食でもして帰ろうかと思案中。夜道でうける風はすっかり夏のかけらを失っていて、わけもなく切なくなる季節がきたなあと実感。こんな日にはホットココアが飲みたくなる。