今日もめくるめかない日

きっとわたしは作家になれない

 これは自分のための備忘録、だけどだれかに聞いてほしいなあなんて思いながら書いている。

 

mrsk-ntk.hatenablog.com

 以前こういう記事を書きましたが、その結果が発表されて、まあ私は落選した。選考会の結果の連絡をもらった直後は、それはもう悔しくて、不甲斐ない自分が情けなくて、恥ずかしくて、帰り道でうっすら泣いた。

 今回は第22回、わたしは前回の第21回でも最終に残してもらっているのですが、前回は一次でも通れば万々歳だわと思って出した作品で、最終に残ったという連絡をいただいたときはそらもう歓喜、あと一歩で受賞…!?わたし作家になれる…!?などと舞い上がっていた。けれど候補作が出揃ったときは絶望した(この賞は期間限定で最終候補作が全文公開されるのです)。

 自分の作品はほかの作品と比べてなんて稚拙なんだろう、もっとあそこをこうすればよかった、ああ直したい直したい恥ずかしいとにかく恥ずかしいの連続で、だから次回出すときは自分の作品が読まれる可能性があるんだぞということを意識して書こうと思ったのだった。

 いや、当然応募したからには読まれるのはわかってる、でもなんというか、読まれる覚悟みたいなのが足りなかったように思う。だから今回は読まれても恥ずかしくない作品を書こう、楽しんでもらえる作品を書こうと思った。

 

 書いた直後は前回よりおもしろくできたと思ったし、いまもそこは同じ気持ち、一次でも通れば万々歳、という意識から最終候補に残るような作品を書こうという意識にもなった。でも不思議なもので(むしろ自然なこと?)、時間が経つとどんどんああやっぱりこうすればよかった、直したい直したい…の箇所はすごく出てくるし、候補作が出揃ったとき、やっぱりわたしは絶望していた。

 みんなそうなのかな、わからないけどわたしは、自作以外の作品がぜんぶきらきらしてみえる。書くということを楽しんでいて(いや実際は苦しんでいる方もいるはずですが、読んでいてその重圧を感じさせないというか)、自分では思いつかない表現があって、会話が生きていて、素直に言うとすごくうらやましい、小説書くのうまくてうらやましい。

 

 落選して、いや結果を聞く前からいろいろ考えていて、とにかくわたしには足りないものが多すぎると痛感した。そこを補っていこうと思っても簡単にはできないし、でもそこを乗り越えないと、わたしはきっとこれから先も同じような作品しか書けない。

 前回、作家になれるかも…!?なんて舞い上がった瞬間があったけれど、きっとわたしは作家になれない。もう何度もそう思っている。じゃあもうがんばるのやめちゃうか、やめたら楽だな、とうっすら泣いた帰り道で考えたけど、その合間に、次はどんな話を書こうか考えている自分もいた。いまのところ、やめる選択をするほうがしんどいみたいだった。

 

 とはいえ落選というのは頭が真っ暗になるね、ああ……と動くのがしんどくなるね、なんにもしたくなくなっちゃうよね。そんなふうに、はああと長いため息をついていたとき、編集部の方が寄せられた感想を送ってくださって、読んでいたら、うっすらどころか大泣きしていた。ここに書いて届くかは謎ですが、本当にひとつひとつ丁寧なご感想で、ひとことだけでも本当にうれしくて、折にふれては読み返しています、もちろん前回いただいたものも。

 

 だれかのために書くとか大層な思いは持っていませんが、だれかに届く作品を書けたらいいなと思う。いつかなにも書けなくなる日がくるのかもしれないけれど、そんなふうに思ったことは忘れないでいたい。長いため息をついて、最近やっと腰を上げはじめました。きっとわたしは作家になれない、でもいまはまだ書いていこうと思います。

 作品を読んでくださった方、本当にありがとうございました。