今日もめくるめかない日

1/13 生きのびる

 7時起床。今日はすすめてもらった「ノマドランド」みました!

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 リーマンショックにより家を失い、車上生活をしながら旅をするファーン。旅先での人との出会い、雄大な景色、洗練された音楽。生きていくうえで避けられない人との別れを過度な悲しみをまじえず、とても大切に描いている作品だと思いました。さよならではなくまたどこかで、この台詞が印象的です。

 

 昼は図書館。数冊予約してきた。読みたい単行本がかなり予約入っていても、ふふふ、作品がはじめて掲載された過去の文芸誌ならほとんど予約が入っていないのだよ。もちろん単行本化にあたって加筆修正している作品がほとんどだと思うので、まったく同じというわけでもないでしょうけど。
 最近はやっぱり本が高いなあと感じざるを得なくなってきて、買うハードルもどんどん上がってきている(あとは単純に本棚スペースの問題もあるけど)。上がることはあってもこれから本の単価が下がることはないだろうから、なかなか難しい問題ですね。買いたい気持ちは人一倍あるけど……。

 

 それから歯医者。今日で虫歯治療が終わった! 通っている歯医者は十年くらい前に数回行ったことあったんですけど、そこから引っ越しやらなんやらで行かなくなって、でもまた近くに越してきたので再度足を運んだのですが当時と名字も違うし新規客の風吹かしていたら今日、先生が「前にも来たことありますよね。口に見覚えがあります」とか言ってきてめちゃくちゃビビった。口っていうか歯でわかるの?十年前の患者が?
 本当に衝撃で帰ってすぐ夫に報告したんですけど「まあ歯医者だし当然じゃない」くらいの感じで全然感動していなかったのでそれにもビビった。えっ……?だって十年前の患者の歯おぼえてるってやばいよね……?えっ……これ世界の常識なの……?

 

 あとは昨日書いたようにカクヨムに投稿している長編の改稿をすすめて、無事最後まで完了しました!ヤッタ~~。改稿というのはまあとりあえずの土台はあるしそんなに労力つかわないだろうと高を括ってたのですが、いや~~~なんかところどころにあるダサい文章、ウワ~~~~~ッと目を背けたくなるなんにも伝わってこない比喩の数々……。けっこう難儀しました。でも投稿しているとどんどんハイになってきて「思ったより私の小説おもしれーかも!」とちょっとポジティブな気持ちになれたのはよかったです。

 

 村田沙耶香「地球星人」読み終わった。数日前の日記に「自称魔法少女と自称宇宙人の恋物語…!?」とか書いてたんですけど、な、なにを言っとるがな自分……。そんな生易しいものじゃないわい……。

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 地球では「恋愛」がどんなに素晴らしいか、若い女はセックスをしてその末に人間を生産することがどんなに素敵なことか、力をこめて宣伝している。地球星人が繁殖するためにこの仕組みを作りあげたのだろう。私はどうやって生き延びればいいのだろう――。芥川賞受賞作『コンビニ人間』をはるかに超える衝撃の受賞第一作。

 地球星人がつくったルール(恋をして生殖をして働いて…etc)に則って生きてはゆけない、洗脳が完全にされることのない、ポハピピンポボピア星人が「いきのびる」話。ポハピピンポボピア星人というのは地球になじめない(というかほとんど迫害されてる)奈月や由宇が生きのびるためにつくったものだけど、彼らは本気で自分たちがポハピピンポボピア星人だと信じている。
(村田作品にしては)読んでいるとき刺激が少ないと思っていたのですが、いや刺激が少ないというかやられっぱなしというか、世界で起こっている理不尽やままならないことに対して対等であるイメージがあったので、受け身なまま話が進むと思っていたのですが、終盤の怒涛の展開に「さすがだ……」となりました。少数派で、地球星人のルールによる「おかしいこと」を当然の世界にしていく、つくっていく、それが村田作品の真髄……。
 それにしても「ごっくんこ」、「仲良しする」、気味の悪い言葉選びがさすがすぎます。これだけでわかっちゃいますよね……。

 地球星人に洗脳されていれば「生きのびる」必要はないのです。勝手に生かされていくので……。生きのびるではなく、生きるだけでいいなら洗脳されておきましょう。